フラメンコギターについて、特徴や種類、他との違い

先日おすすめのフラメンコギターについて書きましたが、今回はフラメンコギターの特徴について、主に他のギターとの比較、という観点から紹介します。

先日の記事は:おすすめのフラメンコギター

江古田教室にはエレキ、フォーク、(無い時もあり)クラシック、フラメンコ、各ギターがあり、生徒さんから何が違うか、と質問されることがありますが、その回答にもなるかと思います。

フラメンコギターの特徴、他ギターとの違い

電気を使って音を出しませんので、エレキギターではありません。電気を使わず生(ナマ)音で鳴らすという点では、アコースティックギターと言って良いと思います。アコースティックギターというと、鉄弦のフォークギター?とイメージされる事が多いようですが、言葉の意味をちゃんと使うとなると、鉄弦のフォークギターはアコースティックギターの一種で、フラメンコギターもアコースティックギターの一種とするのが良いかなと思います。

では、鉄弦フォークギターとフラメンコギターの違いはというと、弦の種類が異なり、フォークギターは鉄弦(同義ですがスティール弦)で、フラメンコギターは主にナイロン弦を使います。ナイロン弦となるとクラシックギターもナイロン弦を使っています。

フラメンコギターの特徴、クラシックギターとの違い

同じナイロン弦を使うクラシックギターとフラメンコギターですが、何が違うのか。似てるし、だいたい同じでも良いかなと思いますが(笑)、簡単にですが以下違いです。

クラシックとフラメンコギター、分かりやすい見た目の違い

・ゴルペ板の有無

フラメンコギターにはゴルペ板が貼ってあります。フラメンコで使われるゴルペ奏法でギターのボディを叩く際に傷がつくのを防ぐため、透明のアクリル板(白いのもたまにあり)が貼ってあります。どちらがクラシックかフラメンコか、と楽器店で迷ったら、ゴルペ板で判別しても良いと思います。クラシックギターにゴルペ板を後から貼る人もいますが、新品のクラシックギターにはほぼ貼ってないと思います。

フラメンコギターのゴルペ板
ゴルペ板

上記ゴルペ板を写した写真ですが、透明なので分かりにくいですかね。

・色の違い

クラシックギターは(絶対ではありません)、だいたい側板、裏板の色が表面板より濃い場合が多いです。これはフラメンコギターの黒(両用とかソロ用)と同じです。側板、裏板の色が表面板と同じような色合いであれば、フラメンコギターの白(伴奏用)という場合が多いです。側板、裏板、表面板の色が同じであれば、フラメンコギターの白で、異なれば、クラシックギターかフラメンコギターの黒、と判断するとだいたい当たりです。加えて、ゴルペ板で判別すると絞れてきます。

クラシックとフラメンコギター、木材の違い

ざっくりとしか認識していないので、ネットで調べたり、「YougGuitar」という雑誌の「ギターと木材」という特集記事、「ギターの名器と名曲」という本を参照したりして書きます。あくまでも多くの場合という話で、珍しい木材を使ったりと色々なケースもあります。

表面板の違い

クラシックギターは「シダーCeder」が使われることが多く、フラメンコギターは「スプルースSpruce(松)」が使われることが多いです。シダーの方が丸く、温かみのある音で、スプールスの方が硬くはっきりとした音が出る傾向があります。シダーはスプールスより色が濃いというか、赤っぽいです。

側板、裏板の違い

先にも書いた通り、フラメンコギターにはざっくり分けて白と黒と2種類あります。クラシックギターやフラメンコギターの黒は「ローズウッドRosewood」や「ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)」が多く、フラメンコギターの白は「シープレスCypres(糸杉)」が多く使われます。シープレスは比重の軽い木材で、音も軽く明るく出る傾向があります。ローズウッドの方が比重が重く、より伸びやかな音です。

クラシックとフラメンコギター、構造の違い

クラシックギターとフラメンコギター、材料はともかく作り方とか、構造がどう違うのか。細かい事は僕も分かりませんので、音質面への影響を中心にこれも簡単に。

フラメンコギターのボディの厚さ。

音の立ち上がりを早くするため、フラメンコギターの方が一般的に薄いです。その分倍音など響きの成分はクラシックギターの方が多くなります。響きが豊富なクラシックギター方が音が良いもの、と単純に思いますが、歌や踊りの足の音を邪魔しない、という観点からはフラメンコギターの方がすっきりしていて、ギター以外の音と混ざった時は良いかも知れません。

フラメンコギターの弦高

フラメンコギターの方が低く設定されています。なんなら、弦がフレットにギリギリあたり、ちょっとしたビビりが発生する位。このビビりがフラメンコらしく心地良いという事にもなると思います。即興的に反応し、素早く演奏するための、弦高の低さともいえるかも知れません。弦高が弦のテンションにも影響し、音質にも影響していると思います。

フラメンコギターの弦長

どちらも650mmというのが多いと思いますが、フラメンコギターでは660mm、665mm、etcと650mm以上を見かける事もあります。特に古いものほど長いかなぁと。これも弦のテンションと音色に影響します。フラメンコは弦高を低くしてテンションが下がった分、低音の響きを補うために弦長を長くしている、という話を聞いたことがあります。弦長が長ければそれはそれで弾きにくいのですが、弦高や弦長を調整して音質と弾き心地を考えて作っているのでしょうかね。ネットで購入できるような量産品はほとんど650mmと思います。

フラメンコとクラシックギターの音質の違い

ここまでに書いたことのまとめにもなりますが、音の観点からは簡単に、フラメンコギターの方が音の立ち上がりが早く、クラシックギターの方が響きが豊か、となります。一般的な分かりやすい説明ですので、絶対的に違うわけでは無いですし、どちらが優れているという事でもありません。個人的にではありますが、楽器単体で弾いた場合のフラメンコギターの低音、中音の出方とか、枯れた感じとか、クラシックとは違っていて好きです。

音の立ち上がりのスピードを違いを実感するには、ラスゲアード奏法などでコードを速く連続で弾いてみると良いと思います。弾いた後に音を感じる速度が違うからと思いますが、弾きやすさもかなり違って感じます。クラシックギターだと、反応や立ち上がりが遅いので、ちゃんと弾けていないと感じ、余計な力が入ってしまいます。

武蔵小山教室、江古田教室、メンテナンス等で移動していない限り、どちらもクラシックギター、フラメンコギターがありますので、機会があれば弾き比べてみてください。

フラメンコギターの弦、クラシックギターの弦

どちらも主に同じナイロン弦を使いますが、「フラメンコギター用のナイロン弦」というのを見かける事があります。フラメンコにはフラメンコ用が良いのかなと思いがちですが、ギターとの相性や好みもあるので必ずしもそうではないと思います。実際、フラメンコギタリストでフラメンコ用というものを使っている人は半分もいないかなぁと感じます。

フラメンコ用とうたっている弦の方が、立ち上がりが良いような気がします。ギターによってはとても良い感じになるかも知れません。

オススメのフラメンコギター弦

これはおすすめフラメンコギターより難しいかも知れません。好みの音もそれぞれということもありますが、ギターとの相性もあり。。例えばAのギターに張ってみて「低音も響くし、立ち上がりも早くなった」と気に入って、Bのギターにも同じ弦を張ってみても「中音域がスカスカで高音がキンキンするようになった」とか。すすめた弦をその人とギターが気に入るか、そんな事は分からないという事です。

色々と弦を試しているうちに、どれがどんな音だったか分からなくなってしまうので、僕は弦を張り替えたら記録を残すようにしています。「どのギターに、いつ、どの弦を張ったか、音色と弾き心地、劣化の速度,etc」と。数年続けた結果、このギターにはこの弦を張ろう、というのがやっと絞れてきたところですが、未だに迷います。

なので、おすすめの弦を質問されたら、「今張ってある弦とは違う弦を張り、どちらが良いかを比較しましょう。気に入った方がおすすめです」と。余裕があれば、数種類を時間をかけて比較してみると良いと思います。その際に録音などしておくとより客観的に比較が出来るかも知れません。

あえて無理やりコレ、という弦をあげるとすると。

1,000円位の値段なら、

HANNABACH ( ハナバッハ ) SET600MT クラシックギター弦セット ミディアムテンション | サウンドハウス (soundhouse.co.jp)

テンションは好みでと思います。6本の弦が同じビニールに入れてあり、梱包を簡略化、コストを抑えているそうで、コスパの観点から〇です。値段の割には高級感のある響きがするかなと。

2,000円位の値段なら、

CX ミディアム Knobloch ACTIVES Double Silver C.X.(Carbon) Medium Tension(ノブロック C.X. カーボン/クラシックギター) – Spain Guitar Online Shop (spain-guitar.com)

これもテンションは好みと思います。フラメンコ用という訳ではありませんが、フラメンコギタリストで使っている人も多いようで、売り文句に記載は無いのですが枯れた感じの音も出て良いです。そして高音弦側の耐久性がとても良いと思います。劣化が遅い上に、時が経過して音が変化した場合も、それはそれで良い音だなという感じです。

上記二つ、どちらもいくつかのギターに張ってみましたが、そこそこ満足する音と弾き心地、劣化の速度も良かったかなと。あくまでも僕のギターに張ってみた、僕の感想です。

気になる弦(おまけ)

“Alma” by Vicente Amigo ( ビセンテ・アミーゴ ) Flamenco Concert Strings, Medium Tension – Spain Guitar Online Shop (spain-guitar.com)

まだ使った事が無いですが、使ってみようと思ってます。ビセンテ・アミーゴ のような音が出たら、いいなぁと。

※注意:この弦を張ればビセンテ・アミーゴ のような音が必ず出るとは限りません。

フラメンコギターに関する別の記事

先頭にも書きましたが、おすすめのフラメンコギターについては以前の記事を参照ください。

またフラメンコギター特徴を踏まえて、フラメンコ以外の音楽で使えるのか、という点について新たに記事を書きましたので、あわせて参照ください。

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