ギタリストの手根管症候群

手根管症候群とは

手根管症候群(「しゅこんかんしょうこうぐん」と読みます)は、腕の指先(小指を除く)までがしびれる症状です。現在は大分改善したと感じますが、過去には僕自身が結構ひどい症状に悩んだ経験があります。

僕以外、周囲のギタリストでも症状が出ている方が数名おり、教えている生徒さんの中にも二人症状が出た経験をもっている方がいます。

具体的な原因や対処、病状などは専門家の記事などを参照いただくとして、僕自身の経験から考える対処法と、現状を書いていきます。

発症

症状が出て、おかしいなと気づいたのは、ギターの講師の仕事を開始して4カ月目位。フラメンコの踊りの教室のお披露目会の伴奏、レストランでのライブなど、まだ不慣れなフラメンコギターを人前で演奏する仕事がひと月に3つ入った年末の事でした。

エレキギターであれば、平気だったと思うのですが。フラメンコの曲にも、フラメンコギターのネックの太さや形状にも不慣れな中、本番のために長時間練習していました。練習中になんとなく左手がしびれる事がありましたが、最初はあまり気にせず弾き続けていました。

ところがしびれは、徐々にひどくなり、指が思い通りに動かせない、時には力が入らない状態になることも。変だと思いつつも本番をこなした後、お正月の期間に1週間ほどギターを弾くのをやめてみました。良くはなったものの、ギターを弾き始めればまたしびれ始めてしまいました。

これはまずいと、ネットで調べたり、知人からの情報をたよりに、手根管症候群という症状に近い事を知りました。ギターを数日弾かなければしびれは治まっていく、ギターを多く弾いてしびれが出る期間は、寝て起きた際も症状が出やすい事も分かりました。

だましだまし、弾き続けていましたが、本番で緊張したり、力が入ったりする場面では余計にしびれがひどくなる事も。ネットで調べたその他の細かい症状とほぼ一致するので、手根管症候群であることは間違いないと思ました。

通院:診断と医者での対処

症状が出て1年ほど経った頃、手術で手根管症候群を治した経験のある生徒さんからのすすめで、自分も生徒さんと同じ整形外科へ通院することとしました。

電気で神経の伝達状況を計測したり、テスト等した結果、手根管症候群と診断されました。

医者からの説明による対処方法は3つ。

1,ステロイド注射

炎症を抑え、しびれを抑えるという事で、一度打ってもらいました。直後はしびれがなくなり、症状が緩和したように思いましたが、2週間位で元に戻ってしまいました。先生は頻繁に打つものでは無いと、これは続けられませんと言われました。

2,手術

僕が通った医者は、手術での成功改善の確率は「後を追える患者に限り100%」と。
しかし、手術後に手に痛みが出来て、細かい作業はできないため、ギターを弾くような仕事の僕には全く進められないとの事。術後の回復期間は、ひとによりまちまちで、パンをこねる生業の方で半年以上痛みで仕事にならなかったケースを説明された。2,3週間で回復する人もいるがなんとも言えないとの事。結果的に僕も手術は希望しませんでした。

ちなみに僕の生徒さんで、同病院で手術を受けた方は1か月後位には痛みはあるものの、なんとかギターを触れるような状態になっていました。彼からも「先生は弾く時間が多いので、どうなるかわからず、やめておいた方がよいかも」と言われました。

3,炎症を抑えるため、のみ薬で治療

僕は3カ月ほど処方されたのみ薬を続けました。あまり改善が見られず、先生からは「西洋医学で治したければ、あなたの場合は薬を飲み続けるしかない」と言われました。

通院の結論

という事で、手術はせず、注射は何度もできず。先生から言われた「西洋医学で治したければ、あなたは薬を飲み続けるしかない」は、裏を返せば「のみ薬で治らなければ、西洋医学では治せません」とも聞こえ通院をやめました。

カイロプラクティックへ

整形外科へ通院後半あたり、医者では治らないかなと思い始めたころ、カイロプラクティックへも通い始めてみました。

想像していたのは、マッサージをしてもらったり、骨の矯正?のような感じでボキボキなど。

想像していた通りの上記のような対処もありましたが、それと併せて、体の使い方やストレッチの仕方を一緒に考えてもらいました。

カイロプラクティックの先生が言うには、

ギターを弾いている時の体勢が大きな原因と思われる。ギターを弾いた後にストレッチをしたり、体をほぐすなど自分でやる事が、ここへ通うよりも重要かも知れません。と。

ギターを弾いている時の体勢を示すと「体がロックしている状態なので、、、」というような事も言われました。

カイロプラクティックへ通った結論

マッサージをしてもらったりすると、楽になるという実感はありましたが、値段が高いので通い続けられないなという事。そして、「体がロックしている状態」とは、そもそも「ギターを弾く時のフォームに問題がある?」という事を考えました。

アレクサンダーテクニーク

ギターの演奏フォームに問題があるならば、それを見直そうと。ネットで調べ良きアドバイスを探したり、知人のギタリストに相談したり。

まず、左手は力み過ぎているのではと、演奏の際に注意してみると、
・今まで不要な力で弦を押さえていた事。
・力みが取れると、演奏も多少スムーズになる(っぽい)という事。
に気づきました。

試行錯誤しているうちに、あるトランペット演奏家の知人のSNSを覗いていたら「アレクサンダーテクニーク」というものを目にしました。細かい説明は省きますが、というか説明が難しいのですが、アレクサンダーテクニークは「体をより有利に使いましょう」という考え方、実践/実験/方法論?のようなもの。

色々な場面で役に立つものだと思うのですが、日本では音楽の演奏家が講師陣にも生徒にも多いようです。

知人のSNSには確か「出なかった音が出るようになった」とあり、ネットで目にした習っている人の体験談にも同様の事がちらほら。「気功術で飛ばされました」位あやしい感じもしますが、本当であればと期待し、ちょうど体験レッスンのようなものを近所の学校で見つけ、行ってみる事に。

残念ながらギタリストでアレクサンダーテクニークを習っている、という人の情報を見つけられておらず、不安もありましたが、体験レッスン後には習ってみようと思う事が出来ました。

体験レッスンでは、ギターを支える際に具体的に何を考えているかを聞かれ、その考え方をちょっと改めるようにアドバイスをもらい、弾きながら体を触ってもらったら、なぜかスラスラと弾けた、という体験をしました。

ギターの支え方を良くすることで、演奏が改善されるのは理解できますが、体を触られて良くなる、というのがなんとも理解が難しいですが。

また体験レッスンの際、他の生徒さん管楽器の方2名が、「普段出したことが無い高音を出せた」というのを目の前で見る事ができました。やらせかなと思ってしまう位良くできた話ですが(笑)、たぶんやらせではかなったと思います。

演奏フォームや体の使い方を見直し、本来の目的である症状改善につながっていくのではと感じました。不随して演奏が良くなる、という事も達成できるなら一石二鳥と、アレクサンダーテクニークを習い始めた次第です。これは2018年の年末の事です。

現状

アレクサンダーテクニーク

アレクサンダーテクニークのレッスンは確か3,4カ月通い、まだ続けたいなと思いつつ一旦お休み。1年以上間は空きますが、引越し先のすぐ近くで、以前通っていた学校の先生が別の学校を開きレッスンをしており、また細々とですが、再開しております。

アレクサンダーテクニークについて、書けるならもっと色々書きたいですが、自分自身がまだ良く理解出来たり、深く勉強していないので、なんとも文章にしにくいです。またの機会にという事で!

手根管症候群の症状

現在は、症状を感じることはほとんどありません。だいぶ改善したと思います。それは何故か。

演奏の際のフォームや力の入れ方、体の使い方が良くなったからだと思います。そして、どのように弾くか等の考え方というか、心の使い方も併せて以前より良くなったと思います。

大きくは不要な力みが取れたのだと思っています。

前述したアレクサンダーテクニークのレッスンや、関連書も役にたったと思うし、生徒さんへ教えながら、ギターやウクレレの演奏フォームを観察し、また他のギタリストの演奏の様子を参考にすることも役だったかなと。

上達のスピードもアップ

そしておまけ以上ではありますが、以前より練習が効率的になり、この年になって(笑)、上達するスピードが上がってきているかなと感じます。以前の上達スピードが遅すぎたとも言えるのかも知れませんが。

必要最小限の力で弾けば、指も腕も楽に動け、長時間の練習も疲れにくく、集中力も上がり。体のどの部分をどのように使うか、どの方向に動かくすか、など考える事でも演奏力や音色に大きな影響が出てきます。

まだまだ改善の余地はあると思うので、症状も無くなり、演奏力も更に上がっていきますようにと引き続きがんばります。

手根管症候群に悩むギタリストへ

腱鞘炎も同様かも知れません。まずは専門家である医者へ診てもらうのが良いと思います。現状を知り、医療で治せるなら、良い方法と思います。

それとあわせて、自身の演奏の仕方を今一度見直してみる事も重要と思います。

僕の場合、という事になりますが、医者へ通うよりも、演奏の仕方、フォーム、体の使い方を見直す事は、医者へ通うよりも有効でした。演奏力向上というおまけもついて。

時と場合にもより、ジャンルや使っているギターによっても違うと思いますが、ギターという楽器はそれほど腕や手にパワーを必要としないと思います。ウクレレも同様。

ギターを演奏する際に、下記のように感じる、思うような人は注意が必要かも知れません。

・弾くと腕がパンパンになる

・弾くために握力を付けよう。または握力が無いので弾けない事がある。

・弾いていると、指がしびれる。

どうしたら良いか、ですが「楽に演奏しましょう」というような事を提唱している、先生やギター教室で習ってみる、というのも手かも知れません。自分でフォームを見直すのも良いですが、大勢のギタリストの面倒を見ている専門家の意見を聴く事が一番の近道と思います。

最後に

まとめです。

より良い体勢で弾きましょう

手根管症候群への対処だけではありませんが、予防のためにも、演奏の際の体の使い方をより良い方向へ見直せるようにと思います。

手根管症候群になってしまったら

まずは医者に行きましょう。原因がギターやウクレレ、楽器の演奏であれば、演奏の際の体の使い方を見直すことも。

より良く演奏するために

体の使い方を見直し良くする事は、障害の予防や改善にもつながりますし、より良い演奏にもつながります。自分で研究し、見直すこともできますが、それらの専門家(楽器の先生やアレクサンダーテクニークの先生、etc)に頼るのも近道となると思います。

以上ですが、ギターが原因となった(と思われる)僕の手根管症候群は、体の使い方を最初から気にする事が出来ていれば、避ける事が出来たのではと思っています。

これを読んだ方の、手根管症候群の改善/防止や演奏力向上の参考になりますように!

追記

Steve Vaiも手根管症候群になっていた!という事で、別のページで記事を書きました。
対処方法なども追記していますので、参照ください。

Steve Vaiも手根管症候群

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