Steve Vaiもギターによる手根管症候群
先日、自身の体験を元に手根管症候群について書きました。
- 先日の記事は → ギタリストの手根管症候群
ちょうど良いタイミングというか、手根管症候群について書いたから、という事もありますが、なんと、あのスティーブ・ヴァイ氏(Steve Vai)もギターが原因の手根管症候群になっていた、という情報にネットでたどり着きました。
※スティーブ・ヴァイ氏(Steve Vai)は、ざっくり過ぎる説明ですが、エレキギター演奏者で、とてもうまい人です。
2021年6月号のYougGuitar誌による、スティーブ・ヴァイへのインタビューの一部がYoutubeで動画公開されており、その動画の中で手根管症候群について触れています。
目次
YoungGuitarの記事は↓
スティーヴ・ヴァイ「Knappsack」誌面未掲載インタビュー映像&最新スタジオ機材! – ヤング・ギター YOUNG GUITAR
動画は↓
スティーヴ・ヴァイ「Knappsack」誌面未掲載インタビュー映像&最新スタジオ機材! – YouTube
動画の要点書き出し
インタビュー動画の内容は、新曲であるという『Knappsack』とその使用機材、奏法から右肩の手術、手根管症候群、体の使い方からストレッチ、呼吸、etcと多岐に渡っています。
体の使い方や演奏に関する説得力のあるアドバイス(さすが一流)や彼自身の貴重な経験、真似しようとは思えない高度な演奏を見聞きすることができます。
ここから先では、手根管症候群に関連する話題を中心に書こうと思いますが、ギタリストや演奏家にとっては、それ以外にも参考になる事があると思いますので、動画も参照してみてください。
手根管症候群について、関連のアドバイス
動画の7分15秒あたりから、手根管症候群について語っています。そして話は、ギターを弾く際の体や腕の使い方、力の入れ方と、それが演奏に与える影響、更にはリラックスする事と呼吸にまで進んで行きます。
手根管症候群に関連して述べられているかな、という項目を箇条書きにすると。
- 左手で手根管症候群を発症した。
- 手術をして、手術後(手術で)痛かった。
- ギターを弾く前は、ストレッチをしましょう。ただしそっと。
- ギターを弾く姿勢が悪かったので、右肩も故障した。首と腰も過去に手術したようです。
- 良い姿勢で演奏しましょう。強く弾く必要はありません。その方が良い演奏が出来るし、体を痛めない。
- リラックスして演奏しましょう。そのためには呼吸が大事。
という感じでしょうか。
インタビューを見て思う事
手根管症候群を発症して、「良い姿勢で弾く、力は不要」と言っており、僕と同じですね!(笑)
これだけ流暢にギターを操るギタリストでも、同じような壁に当たってしまうのか、という事は少々驚きでした。しかも、手術したのは2020年の年末と最近です。どうでも良いですが、ギターによる手根管症候群は、スティーブ・ヴァイより僕のが先輩という事になります。
内容は全く同意します
さすが同じような事を言っていても説得力が違うなぁと思い、おっしゃる通りと思います。
ちょっと細かい点ですが、スティーブ・ヴァイは「イングヴェイ・マルムスティーンのタッチはとても軽い」とあえて言っている点も僕と同じです。
軽いという点もですが、ネックと指板に対する、腕や指の角度が負荷の無いような方向から入ってる、という所も良い所と思います。ギターレッスンの際にも(好き嫌いは別として)イングヴェイを知っていそうな生徒さんへは参考にしてみてはと伝える事があります。
手根管症候群に対し、ではどうするの?が抜けている
言っていることは全くその通りなのですが、ではどうするか、どう実践するか、という点が抜けているというか、彼なりなので、勘違いや解釈の仕方によっては、悪い方向に進みかねないなと思う点もありました。
演奏を見れば一目瞭然ですが、本人は良い結果が出るように考えられて、行動できているのだと思います。ただ考え方や言葉の捉え方も人それぞれで、彼の言葉をそのまま受け入れても理解が出来なかったり、悪い結果を導いてしまう事さえあるかなと。
「良い姿勢でギターを弾く」という事
一番気になったのは、「良い姿勢でギターを弾こう」とアドバイスしており、それが「背筋を伸ばして」とも説明している点です。
※彼の話す英語の日本語翻訳内容を見ての事なので、本人はもしかしたら違うニュアンスで説明しているかも知れません。
「背筋を伸ばそう」と思った人間がどのような姿勢を取るかは人それぞれで、腰を前に出して、頭が後方に倒れるような姿勢(後ろにのけ反るような姿勢)になる人もいるでしょう。
後ろにそるような姿勢、我々日本人の「きょうつけっ!」の姿勢は、(人によりけりかも知れませんが)結構負担がかかり、ギターは当然弾きにくいです。ひと言では難しいですが、「指先はもちろん、足や頭も楽に自由に動ける状態」を目指すのが分かりやすくて良い結果が出るのではないかと思います。
結論 ギタリストの手根管症候群対策と予防のため
手根管症候群になってしまった人は、まずは病院で診てもらうことと思います。
良い姿勢で弾けると大きな対策と予防になると思いますが、体も人それぞれでもあり、ギターを立って弾く、座って弾くなどによっても違いますが、体全体が楽だなと実感しながら弾ける状態が良いと思います。
楽な姿勢を探す一つのヒントですが、まずわざと「弾きにくい」と思う体勢やフォームで演奏してみてください。例えば背筋をピンと張って、両肩を後ろにびしっとして。指先や腕は動きやすいでしょうか。ギターは演奏しやすいでしょうか。そこから緩めていくような感じで体勢を変えていきながら、びしっとの逆方向へ動いてみたり、また戻したり、色々探りつつ。このあたりが楽だなという体勢やフォームが見つかりやすくなると思います。
これまで先生に習った事が無い方は、教室やスクールに通い指導を受けてみるのも手かもしれません。
当ギター教室、ウクレレ教室のレッスンの際は、体の使い方にも注意を払い、アドバイスしています。手根管症候群や腱鞘炎の予防以外にも、上手く弾くため、難しい奏法のためにも、体のどこをどのように使うかが導けると、上達やマスターも早くなります。
オンラインレッスンでもギターやウクレレのフォームはチェックできるので、便利な時代になったなと思います。
人に習うのはどうも、、という方も、体の使い方は自身でも探求しより良くできるものと思います。手根管症候群などの障害に悩んだり、上達に悩む演奏者の方々は、今一度体の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。
僕自身についても、教室で生徒さんへ教える時も、まだまだ研究が必要と思いますが、より良い姿勢でより良い演奏につながるようなアドバイスができるように努力していきます。
最後に補足
主旨と関係無い話です。
スティーヴ・ヴァイというギタリストは凄いなと思い、尊敬もしますが、好きなギタリスト、ミュージシャンには入りません。嫌いと言うのではなく、あまり聴いてこなかった、知らなかったなと。
フランクザッパにどのように絡んだのかも知らず、デイヴィッド・リー・ロスのソロアルバムでの演奏位しか思い浮かびませんが、せっかくなので意図して聴いてみようかなと思います。
追記 2023年8月14日 手根管症候群 症状改善したケースの紹介
僕以外にも生徒さんで手根管症候群の経験者がおり、改善に至るケースを紹介する記事を書きました。